あまつなぎホームページ トップページへ

かかりつけ医について(連載6①)尼医ニュースより転載 歯科医師の投稿

かかりつけ医

                                にしむら歯科院長 西村 望

Lifetimeに沿った歯科治療

 目の前の「疾患」に対する治療だけでなく、患者さん毎のライフステージに応じた将来を考慮した治療、Lifetimeに沿った歯科治療がしたいと思い尼崎で開業してまる12年、開業前から受診いただいてる患者さんではもう20年以上のお付き合いの患者さんも多くおられます。小学生だった方が赤ちゃんを連れて定期メンテナンスに来られ「この子も乳歯が生えてきたら、先生に定期的にチェックお願いしますね」と言われたり、骨折されて在宅診療になられた患者さんから「10年前、先生に痛いとこだけでなく将来を考えて全部をちゃんと治さないとあかんっていわれて治してもらったの、今になって良かったって思ってんねん。」って言っていただけると、かかりつけ歯科医ってこういう事なんだろうなと感じています。

「診療メモ」

 私の診療所では、正規の診療録以外に「診療メモ」という覚え書きがあります。疾患についてだけでなく「来週お孫さんの結婚式で名古屋へ」とか「最近、右膝が痛くて整形外科受診しようと思ってる」など、患者さんとの会話で聞いた色々な情報を、私だけでなくスタッフなどもちょこッとメモしておくものですが、これが意外と役に立ちます。「グルコヘモグロビンの数値が悪くて、このままやったらインシュリン注射になるかもって言われた」などは即診療に反映すべき情報ですし、歯周病が悪化していたりすると「糖尿病の先生には何か言われてますか?次の受診の時にはかかりつけの先生に歯医者で歯周病が悪化してるって言われたって伝えて下さいね」とお伝えしたり、診療の中での様々な「気付き」の蓄積から今後対応すべき問題へのヒントが得られたりします。

「気付きの共有」

 医療保険制度改革の中で「かかりつけ医」「かかりつけ歯科医」「かかりつけ薬局」などの名称が掲げられ、保険点数の貼り付けなどの制度面で年々システム化されています。はじめは患者さんにお聞きしてもかかりつけ医として総合病院を挙げられたりする方も多かったのですが最近はだんだんと理解されてきたと感じます。このようにシステムとしてのかかりつけ制度が一般化してくる中で思うのは、きっとそれぞれの「かかりつけ医」「かかりつけ歯科医」「かかりつけ薬局」の中で、各々小さな「気付き」があるのだろうということです。それぞれの気付きは本当に小さなものであったり、時にはさほど意味のないものも混ざっているかもしれません。でも、その気付きを職種を超えて共有・蓄積できれば、意味のある「情報」になるのではないかと感じます。

「かかりつけネットワーク」

 診療情報提供書を書けるほどの「情報」ではない、いわば「情報未満」の小さなエピソードであっても、蓄積し共有することで意味のある情報になりうると思うのですがそのような「気付きの共有」こそ医療連携の本質なのではと感じます。制度としての「かかりつけ」は徐々に整ってきていますが「気付きの共有」は現状ではまだまだ難しいと思います。しかしこのコロナ禍で医療のみならず社会全体のIT化は着実に進んでいるのを見ると、遠くない将来にはそのような「気付きを繋げる」医療連携のしくみができるのではとの期待もあります。  「かかりつけ」とはそれぞれの職分野でその患者さんの全体像を一番把握できている者ではありますが、それぞれの職種で多面的に情報共有することで、患者さんの全体像が立体的に浮かび上がるのではないでしょうか。そんな「かかりつけネットワーク」がかかりつけ制度の理想形なのだと思います。

医師からのコメント

齋田宏先生からのコメント

いつまでも末長く患者さんに伴走できる”かかりつけ医(歯科医)”になるために

 ”かかりつけ医(歯科医)”の定義は、よく、様々な立場から述べられていますが、”かかりつけ医”のあるべき具体的な姿勢に関するご意見は少ないように思います。
 西村先生の投稿記事を読ませていただき、「地域に密着した”かかりつけ医(歯科医)”とは、本来、どうあるべきか?」という我々医師(歯科医師)の診療時における姿勢を改めて考えさせられました。
 今回のご意見内には、「情報未満の小さなエピソード」という語句がでてきます。
この記事では、
① 診断や治療など診療には直接は関係しないが、しかし、患者さんの生活においては、その人なりの大切な情報を普段の診療時に蓄積して行くことの大切さ
② そして、その些細な情報の蓄積が、患者さんとの「信頼関係の絆」を生み出し、いずれは、親から子への世代を超えた家族丸ごとでの患者さんへの伴走(支援)を可能とするかもしれないこと
 など、”かかりつけ医”としての姿勢を改めて再認識させてもらったご意見でした。 

黒田佳治先生からのコメント

 歯科医師の立場から「かかりつけ歯科医」として歯科診療のみでなくライフステージに応じた歯科治療、定期メインテナンス、患者さんの背景を共有するための「診療メモ」は参考になりました。患者さんに対する「気付き」を「かかりつけ医」「かかりつけ歯科医」「かかりつけ薬局」で共有・蓄積、「気付きを繋げる」医療連携の仕組み、それぞれの専門職種で多面的に情報共有することのできる「かかりつけネットワーク」の必要性を感じておられると思いました。そのためにはかかりつけ歯科医、かかりつけ薬局、かかりつけ医の風通しを良くするためにお互いを親しく知る、顔の見える関係を作ることが必要と思います。患者さん気付き情報をクラウドに上げ、「かかりつけ」が見れるムコネットの進化版ができれば素晴らしいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました