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かかりつけ医について(連載7②)尼医ニュースより転載 介護支援専門員(ケアマネジャー)の投稿

かかりつけ医

                    公益社団法人兵庫県看護協会尼崎ケアプランセンター
                             主任介護支援専門員 桃井 美季

利用者様のかかりつけ医

 居宅のケアマネジャーとして初めて利用者様と関わる時に、かかりつけ医をお聞きするのは大切なことの一つです。かかりつけ医の先生がおられることで相談がしやすく、特に医療系サービスの導入をスムーズに行うことができます。
 現在私が担当している利用者様の中で、かかりつけ医がおられる方は8割近くになります。私がこの仕事を始めた15年前に比べて、その割合は増えているように思います。
 かかりつけ医がおられる利用者様は、複数の疾患や症状を抱えておられても、丁寧なインファームドコンセントにより治療方針や疾患を理解され、安定した在宅生活を維持されていると感じます。
 「この先生に手を握ってもらって自宅で亡くなりたい」とお話しされた利用者様とご家族がおられました。穏やかな温かい看取りを経験させていただいたことが幾度とありました。かかりつけ医の先生との長年のお付き合いから築いた信頼関係に感銘を受けます。  

ケアマネ業務の中で感じること

 日々のケアマネ業務の中で感じることがあります。例えば、かかりつけ医がおられる中、整形等複数の医療機関を受診されている場合のことです。各機関で処方や治療、生活上の指示が出され、ご本人(利用者様)はよくわからないまま従っておられ、本来どうすべきなのか、どこに聞いていけばよいのか非常に不安になるとお聞きします。ケアマネとしては、かかりつけの先生に聞いてみてはどうですか?と提案はしてみても、これは専門外だから聞いても無理だと返答される利用者様がおられます。
 こういった事例から、かかりつけの先生方は「いつも診ている病気以外でも相談しても良いですよ」と利用者様にお話しをしていただけるのでしょうか。また、そのような対応は可能でしょうか。利用者様が他の医療機関で出されている処方や治療について確認されることはあるのでしょうか。他の医療機関でのケアマネジャーからの情報提供を行ってもかまわないのでしょうか。一度お伺いしてみたいと思っていました。

  近年、在宅の対象者は急増し、しかも重度化・多様化・複雑化してきており、利用者様は身体的にも生活背景も複数の課題を抱えてすごされています。団塊の世代が75歳以上になる2025年を見据えて、誰もが住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、ケアマネとして利用者の視点にたち、利用者のニーズに見合ったサービスが切れ目なく提供されるように医療・介護の連携に努めていきたいと思います。  

医師からのコメント

島田真先生からのコメント

 患者、利用者さんとの信頼関係、そして医療・福祉の連携の要。やはりこれが重要な要因であることが理解できます。しかしなかなか難しいもので、他医師の説明や診療内容について、専門外であるとなかなか意見を出しにくい時もあります。しかし、それでも、「このような質問をしてみてはどうか。ご自身の率直な気持ちを医師に伝えて見てはどうか」など、患者さんを支え、一緒に考えるという態度で接することは専門外であろうが常に可能であると思います。また生活上の問題について相談を受けた場合も、誰に相談すれば良いのかなど、医師として検討して意見を述べて一緒に患者さんがより快適で不安を軽減できる生活が出来るように援助は可能だと思います。是非相談していただき一緒に考えていきましょう。

松本重人先生からのコメント

かかりつけ医とは                    
 この言葉、最近よく耳にします。厚労省通達のワクチンの適否でさえ「かかりつけで・・・・」という文言を見ると、よほど重要な意味を持っていると思ってしまいます。しかし、実際は「かかりつけ」とは非常に曖昧な言葉です。というのも医師、介護担当、患者さんでは解釈がかなり異なるところがあるからです。ケアマネジャーの方々のご意見を要約すると「かかりつけとは患者さんのことについて主に健康上の諸問題についてオールマイティに対応できる」ということになりますでしょうか。なるほどおそらく介護担当から見ると、「かかりつけ医」とは患者さんの健康についてすべての医療的な責任を負うものという立場であろうと思います。それは地域医療のシステムを動かすときに、その方が効率的であり、安心できるという患者さんがおられるからだと思います。しかし患者さんから見ると若干違った視点もあります。ネット時代にクリニックはその検索も口コミも、医療内容も容易に検索し選択できるようになっています。私の地域だけではないと思うのですが、診療所乱立から(良い側面もありますが)医療サービスの差別化、低コスト化がなければ生き残れない様になってきています。すると患者さん側も、「注射はAクリニック、リハビリはB診療所」といった具合に複数施設に「かかる」ケースも多く、それぞれを「かかりつけ」と認識しており、医師もそれを認知しています。では医師の立場ではどうでしょうか。私も地域医療活動を始めてまだ10年あまり、勤務医と地域医とは全くことなることに戸惑う日々です。ご存じのように勤務医は、専門的に細分化された医療パーツを病気の治療に当てはめることを主業務とします。つまり、循環器科には心臓病、小児科には小児のみ限定されて医療相談に来られます。そして、地域医として従事されておられる先生のほとんどは、いろいろな事情から勤務医から地域医に「転職」します。そこで思い知らされるのが、「専門外という立場は地域医にはない」ということです。ドラマの題名ではないですが「ドクターコトー」の心意気でもないと、この仕事はできません。実際の孤島の医師は激務ですが、医療者としては幸福です。というのも患者さんの病気はもちろん、家族のことやその人の癖に至るまですべてひっくるめて「諸般の事情を知る」ことが環境上容易であるからです。病気にはガイドラインに沿った治療法があり健康保険上許される医療というものがあります。医師の裁量権という意味ではなく、患者さんの家庭環境や経済的な理由など、様々なゆらぎの中で患者さんに納得と安心を最大限得られる解答を見つけていくのが地域医です。しかし孤島と違い、大都市では医師も患者さんも選択肢が多い分「転医」も容易です。地域医で重要な「事情」を知ることは環境として難しくなってきています。医師も患者さんも人間ですから「諸般の事情を知る」くらいの関係を築くには、時間も機会も多く必要です。加えて病状をはじめ、様々な要因から患者さんの心情も刻々変わります。安定と思われた関係が、ふいに崩れる瞬間も希ではありません。多くの選択肢があるということは、適当でない患者-医師関係を作り直すことが容易である反面、なかなか「かかりつけ」が浸透しない理由でないかと思っています。これは「固定担当医」として従事されておられる勤務医諸先生方にも分かりにくい不安定さではないでしょうか。そこで一つ、私のような末端のものが言うことでないことを承知であえて申し上げれば、だれに「諸般の事情」をよく理解させ、あるいはどのようにして理解してもらうかを調整することもケアマネジャーさんの仕事として重要ではないかと思います。「なんでも相談できる医者」が地域医としてどのくらい存在するかは、介護担当の諸氏は実感されていると思いますが、そういう医者を見つけるというより、そういう医者を作っていこうという発想転換もしてみると今と違った景色になるかもしれません。と最後に付け加えてみます。コロナ禍で地域医療は非常に流動的になっています。一部の医師に過負荷がかかっており、だからこそ「かかりつけ」を定義してその枠中に多くの医師に参入していただきたいという方向性は当然のことと思います。しかし、「ドクターコトー」がそうであったように、かかりつけ医はご近所さんで作っていくしかないように思います。時間はかかりますが、ケアマネジャーさんも話せる地域医をどんどん増やせるよう動いてみませんか?

         

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