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かかりつけ医について(連載8①)尼医ニュースより転載 訪問看護師の投稿

かかりつけ医

訪問看護ステーション フリーバーヅ
管理者 片野 淳子

はじめに

 1994年健康保険法が改正され、在宅医療の位置づけが明文化し、それまで高齢者が対象であった訪問看護は、在宅で医療・療養を受ける全ての人々を対象とするものへと変わりました。
 2000年には介護保険法が施行され、訪問看護も様々な変革を遂げ最近では人世の最期を自宅で迎えたいと望まれる方が増え、在宅看取りを目的としたケア介入も多くなりつつあります。また、在院日数の短縮により医療依存度の高い在宅療養者も増えている現状があり、こうした医療情勢を踏まえ、これまで以上に訪問看護と在宅医の先生方との連携が必須となる事は言うまでもありません。
 しかし、日々の現場では理想とは少し違った現実が見え隠れする場面も多く見られます。
 クリニック(医院)での診療に奮闘され、合間に訪問診療へ出かけられ、多くの訪問看護ステーションから様々な報告、指示受けを求められる先生方の日々のご苦労も十分に踏まえた上で、今回私たち訪問看護師の話に少し耳を傾けていただける、とても良い機会と考え、連携での課題を何点かあげさせていただきたいと思います。

スピーディな利用者対応のために

 例えば、自宅での看取りを目的としたチーム医療を開始したにもかかわらず、主治医の先生の連絡がクリニック(医院)のみとなっており夜間・祝日などの時間外に連絡が取れない、あるいは連絡先を提示されていても現場からの指示受けの連絡がまる1日つかないこともありました。また平日の緊急的な報告などクリニック(医院)の診療時間帯への連絡がスムーズに行われず受付の事務の方や外来看護師の方などへの説明の繰り返しが多くダイレクトに正確な情報が伝わりにくい場合があります。
 私たち訪問看護師も緊急性のないものは極力FAXなど文書での報告を心がけています。
 クリニック(医院)への直接連絡となった場合は、現場から指示を仰ぎたいケースですので、できるだけ伝言ではない直接的な対応をしていただけるとよりスピーディな利用者対応が出来るのではないかと考えます。

訪問看護師の判断

 一方で訪問看護師も緊急性の判断、どの段階で指示を受けないといけないのかなど事業所によって異なり、先生方のお手を煩わせる事案もあるかもしれませんので、今後はこういった事に関しても連絡協議会などで共通認識を深めマニュアル化するなど再検討も必要になってくると考えます。
 訪問看護では、病棟とは異なり電子カルテ内の指示をタイムリーに確認できる環境にないので先生からの確実な指示受けにこだわります、この場で問題を解決しないと次に訪問するのは1週間後になり利用者の健康を害する問題に発展しかねないと自覚しているのです。

より良い関係性の構築

 愚痴のような内容になってしまいましたが、看護師は精神面で患者に寄り添う行為は自発的にできますが、全ての医療的行為においては医師の指示を必要とします。
 利用者の安全や安楽を確保するため確実な指示を遂行するには、主治医の先生方と訪問看護師はより良い関係性を構築することが求められると考えます。在宅療養者・ステーションの増加に伴い先生方のご負担も大きくなっていると思いますので、先生方からも私たちに要望があれば教えていただき問題解決に努めてまいりたいと思います。

医師からのコメント

大隈健英先生のコメント

 訪問看護及び訪問診療が日常化した現在、国が描く医療体系が各市町村隅々まで構築・認知されたかを振り返るとやや疑問です。
 ご指摘のような現場に出向く訪問看護師さんが「今」解決したい事象に直面した際、司令塔である医師と十分なやり取りができない。それは大変ストレスのかかるお話です。
 患者さんを目の前にして待たされることは、自分は待てても患者さんに負担をかけていることにつながり辛いですね。
 医師も平素は遊んでるわけではなく、目の前の患者さんと接しているはずです。訪問看護師さんから電話があれば目の前の患者さんを待たせて対応しなければなりません。
 想いは同じです。
 こと医療業界は時間を持て余している方などほとんどいないと思います。
 ついつい自身の価値観で優先順位をつけてしまいがちですが、必ず相手のご都合も存在します。
 「お互い様」の中で、いかに連携を構築していくかは今後も難題です。
 とかく日本は国政を主体に制度ばかりが先行し、それを遵守すべき当該者がそれについていけてない状況にありますね。
  成熟した在宅医療を構築していくには、上手なお手本を示してくれる医師や訪問看護師さんの成功事例を研究そして広めていくことも早道ではないでしょうか。

夏秋恵先生のコメント

 訪問看護師さん(以下、訪看さん)には、いつも大変お世話になりありがとうございます。私は、時々、訪看さんから連携医師に対する悩みを聞くことがあります。「それ、先生があかんやん!なんで、その時に直接言わないの?」と言うのですが、「そんなん、先生に言われへん・・」と一言。訪看さんは先生に遠慮されてるのか?言っても無駄とあきらめておられるのか?・・医師側にそれが伝わっていないのが現状です。在宅医療という地域連携病棟がうまく運営される為には、互いに遠慮せず的確に相手に自分の意見を伝え、互いに聞く耳を持ち、協力して問題を解決していくことが重要だと思います。
 今回、訪看さんより貴重なご意見を頂いたので、私なりの考えをコメントさせて頂きます。

緊急時の連絡について

 おっしゃるとおり「すべての医療的行為において医師の指示が必要」です。それなのに緊急時の連絡がとれないのは困った問題です。訪問看護指示書には医師の緊急連絡先、不在時対応方法を書く欄があります。24時間対応をしない先生の場合、あえて自院番号しか記載しないこともありますので、必要に応じて事前に先生に直接聞いてみて下さい。
 また、現場からの連絡に関しては、「現在、訪問中の患者さんに関する指示が至急必要なので〇〇医師に繋いで欲しい」とはっきり伝えて下さい。私は、そのような電話には診察中でもすぐに取り次ぐように受付スタッフに伝えています。

重複処方に関して

 本来、薬の重複はあってはならないので他医の処方をお薬手帳等で確認してから処方しますが、万が一、重複があった場合でも、処方箋を受け付ける薬剤師さんがチェックするはずです。このチェック機能がうまく働くためには、薬局で常にお薬手帳を提示するか、どの先生の処方箋も同じ薬局(かかりつけ薬局)に持って行くかです。患者家族にかかりつけ薬局を作るように伝えることも大事なのかなと思います。

往診医の決め手

 文章中に述べられている①フットワーク②傾聴③多職種との連携上手は、医師だけではなく、医療介護連携に関わるすべての職種に必要なことですね。④上手な疼痛コントロール、在宅医療における医師の技術向上に関しては、地域包括ケア・勤務医委員会で企画している在宅医療介護塾のテーマとして今後も取り上げていきたいと思います。

 

                          

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