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かかりつけ医について(連載8②)尼医ニュースより転載 訪問看護師の投稿

かかりつけ医

ハートコール訪問看護ステーション
所長 杉本初枝

「かかりつけ医」って何?

 今回、「かかりつけ医について」のコメントをという依頼を頂き、まず、「かかりつけ医」って何?と原点に戻り考えました。前回の連載されていた地域包括支援センターの方も書かれていたように、日本医師会は、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義されていました。私達、訪問看護師も「そうだ、そうだ。」と納得しました。しかし、この言葉は抽象的であり、どのように医師の皆様はご理解されているのでしょうか。また、国では、かかりつけ医は、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で暮らしていけるよう、医療、介護、福祉などのサービスを一体的に提供できる体制の構築を行い、その中心的な役割を果たすべきであるということでした。

地域の医師、医療機関等との情報共有

 例えば、抗がん剤治療を専門医療機関で継続しながら、その他全体の治療を地域のかかりつけ医で診てほしいとのことで依頼を受けるケースがあります。この時、専門医療機関からは、内服薬はかかりつけ医から処方するように依頼されていますが、抗がん剤治療を行う度にかかりつけ医と重複して処方がされることも少なくありません。そういったことから利用者・家族は、かかりつけ医と専門医療機関の医師のどちらに何を相談したらよいかわからず困っている現状があります。病状や服薬について訪問看護師が利用者・家族から相談を受け、かかりつけ医に状況を説明し相談をしても、かかりつけ医も「そこは、専門医にまかせているから」とよくわかっていない状況もあります。
 日本医師会が提唱している、「かかりつけ医機能」では、「かかりつけ医は、自己の診療時間外も患者にとって最善の医療が継続されるよう、地域の医師、医療機関等と必要な情報を共有し、お互いに協力して休日や夜間に対応できる体制を構築する。」等、言われています。これが実現化できることが地域医療の質の向上に繋がるのではないかと思います。

かかりつけ医を探す決め手

 自事業所では、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、昨年より専門医療機関からターミナルケアの必要な利用者の依頼が増えており、その際にどこに往診を頼んだらいいのか?と、かかりつけ医の相談も同時に受けることがあります。その時の決め手は①フットワークがいい!(スムーズに連絡・相談でき快く対応してくれる)②患者・家族の話を聞いてくれる!③多職種との連携や信頼関係が構築しやすい!④適確な疼痛コントロールができる!(麻薬の調整が上手い)等が挙げられます。最近は、これらの条件に合うような、地域の医師も増えてきました。尼崎市外の訪問診療専門のクリニックも進出しており、一緒に連携させて頂く機会も増えてきました。先日、訪問診療専門クリニックの若い医師にターミナル期の利用者を診ていただきました。その時の対応としてスムーズな鎮静剤の使用、緊急対応とわかりやすい病状説明、看取りの時の丁寧な対応(特に亡くなった利用者にも、家族に対しての言葉かけ)に感動しました。利用者・家族は医師の一言、一言に医師が思っている以上に影響を受けて一喜一憂しています。
 家族、訪問看護師、ケアマネジャー等の口コミで在宅医療も充実していくのではないかと思います。私達訪問看護師、そして何より利用者・家族の心強い味方となっていただけるよう願っています。

医師からのコメント

大隈健英先生のコメント

 「なんでも相談できるうえ、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき~~~」、その定義で医師を図ると適合する医師はいるのでしょうか?
 また一人の医師にそこまで責任を負わせる必要があるのでしょうか?
 これこそ制度が先行し現場が追従できない状況ではないでしょうか?
 小生も長く医療に従事しましたが常に「win-win」の関係が望ましいと思います。そこを膝を突き合わせて相談することで答えが出るのではないでしょうか。
 「口コミで在宅医療が充実していく~」、ほんとにそうやって成熟していくものなんでしょうね。

夏秋恵先生のコメント

 訪問看護師さん(以下、訪看さん)には、いつも大変お世話になりありがとうございます。私は、時々、訪看さんから連携医師に対する悩みを聞くことがあります。「それ、先生があかんやん!なんで、その時に直接言わないの?」と言うのですが、「そんなん、先生に言われへん・・」と一言。訪看さんは先生に遠慮されてるのか?言っても無駄とあきらめておられるのか?・・医師側にそれが伝わっていないのが現状です。在宅医療という地域連携病棟がうまく運営される為には、互いに遠慮せず的確に相手に自分の意見を伝え、互いに聞く耳を持ち、協力して問題を解決していくことが重要だと思います。
 今回、訪看さんより貴重なご意見を頂いたので、私なりの考えをコメントさせて頂きます。

緊急時の連絡について

 おっしゃるとおり「すべての医療的行為において医師の指示が必要」です。それなのに緊急時の連絡がとれないのは困った問題です。訪問看護指示書には医師の緊急連絡先、不在時対応方法を書く欄があります。24時間対応をしない先生の場合、あえて自院番号しか記載しないこともありますので、必要に応じて事前に先生に直接聞いてみて下さい。
 また、現場からの連絡に関しては、「現在、訪問中の患者さんに関する指示が至急必要なので〇〇医師に繋いで欲しい」とはっきり伝えて下さい。私は、そのような電話には診察中でもすぐに取り次ぐように受付スタッフに伝えています。

重複処方に関して

 本来、薬の重複はあってはならないので他医の処方をお薬手帳等で確認してから処方しますが、万が一、重複があった場合でも、処方箋を受け付ける薬剤師さんがチェックするはずです。このチェック機能がうまく働くためには、薬局で常にお薬手帳を提示するか、どの先生の処方箋も同じ薬局(かかりつけ薬局)に持って行くかです。患者家族にかかりつけ薬局を作るように伝えることも大事なのかなと思います。

往診医の決め手

 文章中に述べられている①フットワーク②傾聴③多職種との連携上手は、医師だけではなく、医療介護連携に関わるすべての職種に必要なことですね。④上手な疼痛コントロール、在宅医療における医師の技術向上に関しては、地域包括ケア・勤務医委員会で企画している在宅医療介護塾のテーマとして今後も取り上げていきたいと思います。

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