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かかりつけ医について(連載1)尼医ニュースより転載  医師の投稿

かかりつけ医

                       地域包括ケア・勤務医委員会 委員長 内藤武夫

はじめに

 地域包括ケア・勤務医委員会では、“医療と介護が連携する上での相互理解”をテーマに議論が行われています。その切り口の一つとして“かかりつけ医”が挙がっています。

かかりつけ医に対する認識の違い

 昨年8月に尼崎市では「地域包括ケアにおける多職種連携に関するアンケート」が行われ、ケアマネジャー等介護側の人たちを中心に337件の回答が寄せられ、その中には“かかりつけ医”に関する問題も含まれていました。また、当市で医療・介護連携に重要な役割を果たしている“あまつなぎ”に寄せられた多職種からかかりつけ医に対する連携の相談内容は、私などが見ると多職種の人たちは“かかりつけ医”というものをどのように理解しているのであろうか疑問に思う点があり、ここに詳細は挙げませんが述べられています。
 このような認識の違いがなぜ起こるのか、今後の連携のため、当委員会では“かかりつけ医”ということを再度どのようなことか、また、どのように“かかりつけ医”の役割を多職種の人や患者さんに伝え、理解を得ることができるのかを考えることとなりました。

尼医ニュースに連載

 当会員の皆様にも少しお考えいただき、また、多職種の方々がどのような考えを持っているかを知っていただきたく、広報委員会で「尼医ニュース」に連載にしてはとのお声もあり、この度連載することとなりました。
 八田会長からは多職種の方々にもご意見を掲載し多職種の方がどのような意見を持っておられるかを知ることも相互理解に繋がればとのご発案もいただいております。今回、広報委員の特権を濫用して、先ず、私が先陣を切ってここに一文を書かしていただきました。ご了承いただければと思います。

かかりつけ医機能

 それでは、そもそも“かかりつけ医”を我々はどう考えているのでしょうか。当委員会の中では ‘診療科目を問わずある特定の患者に対してそのバックグラウンドを含め、医療面全般に関して相談に乗れる医師’であれば良いという考えが大半を占めていました。この考えのもと、各自ができることをすれば良いとの趣旨であったと思います。
 それでは細目について、かかりつけ医機能に関して、昔から地域包括ケアに力を入れている尾道市医師会が2008年に発表している主治医機能3原則というものを紹介したいと思います。

主治医機能③原則

①multiple functions(多機能をもつこと)
 ・在宅医療:end-of-life-care・看取り・24時間対応・在宅緩和ケア
 ・連携機能:在宅チーム医療・地域医療連携・看護、介護との連携・ケアマネとの連携
 ・長期マネジメント機能:長期継続ケア・各種カンファレンスの継続・多職種協働
 ・認知症早期診断・治療・ケア の総合化

②flexibility(柔軟な対応を行うこと)
 ・利用者や家族の状況の理解:長期フォローアップにおける療養環境の整備
 ・的確にしてタイムリーなサービス選択とアクセス
 ・利用者本位のサービス提供:個人の尊厳、QOLの重視・アドボカシー

③accountability(説明責任)
 ・利用者が知りおくべき情報については適切な説明を行い共通認識とする
 ・インフォームドコンセントにおけるズレをなくす努力
 ・カンファレンスを通じて関係多職種との共通認識に必要な説明責任
 ・コミュニケーション技術(リスニングスキル)を駆使して信頼の基盤構築

 こうしたかかりつけ医機能として理想的な尾道の考え方全てが尼崎市の医師に当てはまるとは思いません。私はかかりつけ医の考え方の理想に向かってできることを行うという根本は同じであっても、現実的な動きは全国共通ではなく地域ごとに違うものだと考えています。仮に孤島で医師が一人しかいない極端な例を考えると、その医師は医療を受ける全ての住人に対するかかりつけ医であることは、ご本人がそこにいる限り義務的なこととなり、各科の連携ではなく内科出身の医師であっても多少の外科・耳鼻科・眼科的な処置などできなければ職務を全うすることは非常に難しいと思います。
 尼崎ではどうでしょうか。尼崎は阪神間にあり陸の孤島ではありません。確かに高齢者にとってはJ R、国道2号線・43号線・尼宝線・産業道路などの主要な道路が橋のない川や海のように考えている高齢者はおられます。その区切られた領域内でさえも医師は多数おり、患者は医師を選択できます。また、医師にとって患者を選択することはあり得ませんが、医師は地域内に各科の専門家がおり、また、基幹病院の受診でさえもこの疾患ならこの病院と選択することが可能です。このような恵まれた医療環境は日本の中でも限られているのではないでしょうか。患者も医師も慣れっこになりこの有難さには気づいていないと思います。 
 その中で高齢者は複数科に通院している患者が多いわけで、医師個人がかかりつけ医であるか(であることができるのか)その立場を取らないか(取れないのか)は医師本人が決め、患者に伝えることではないでしょうか。そしてどのようなことができるのか患者に伝え、それを受け入れるかどうかはその状況に至るまでの患者と医師との信頼関係に基づくものだと思います。委員の発言の中に患者に選択されるというお言葉もありました。これも決して人気取りによるものでなく、患者・医師間の相互理解に基づくものと思います。
 専門領域で忙しい基幹病院の医師にそれを強要することはできません。中にはそれをしたいと思う医師もおられると思います。尾道までとはいきませんがある程度の覚悟が必要なのではないかと私は考えています。

おわりに

  勝手な話をつらつらと書かしていただきました。今日書かせていただいた“かかりつけ医”一文は委員会の意見ではなくあくまでも個人の考えです。
 次回は夏秋理事に当会の正統的な“かかりつけ医”の考え方を書いていただきます。
 その後、多職種の方々に“かかりつけ医”のイメージ、要望やその方々が考えられる問題点をできれば書いていただき、それにお答えすることができればと思っています。
 尚、尼医ニュースの読者の当会の先生方にもご意見があれば是非、ご投稿いただければと思います。よろしくお願いいたします。

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