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かかりつけ医について(連載11①)尼医ニュースより転載     サービス付き高齢者向け住宅からの投稿

かかりつけ医

福祉総合施設 メロディハウス  神田 郁美

サービス付き高齢者向け住宅 について

 「サービス付き高齢者向け住宅」(以下サ高住) は、2011年10月に「高齢者住まい法」によって創設された、高齢者が安心して暮らしていけるバリアフリー構造の賃貸住宅です。比較的元気な高齢者が暮らす想定の住まいのため、付いているサービスは安否確認と生活相談のみで介護サービスは付いていません。介護サービスを受けるには個人で契約の上、利用するのが原則となっています。
 しかしながら、全国的にも重度者の入居率は高く、見取り率も年々上昇していっているのが現状です。当メロディハウス(以下ハウス)においても、現在入居者の半数が要介護3以上で、ご本人はじめご家族様の大半の方が「人生の最期をここで迎えたい」と希望されており、看取り率は今年に入って8割に達しています。この現状を踏まえ、サ高住では介護・医療依存度が高いケースや終末期に対応していくための体制づくりが非常に重要な課題であると感じており、そのためには「かかりつけ医」は欠かせない存在だと考えています。

かかりつけ医についてスタッフの声

 かかりつけ医は入居者様それぞれで違い、地域の在宅医から総合病院の医師まで多様なかかりつけ医がおられます。そこでスタッフの声を拾ってみました。

ハウスで多職種連携をしていく上で心強い「かかりつけ医」とは

  • 入居前から信頼関係が構築できている先生。
  • 病状の相談だけではなく、入居者様の小さな喜びにも耳を傾けてくださる先生。
  • 病状の変化に対して、的確な指示と見通しを本人・家族様はもとより、ケアマネを中心に多職種にも情報提供してくださる先生。
  • 緊急時、すぐに駆けつけてくださる先生。来ることができない場合、ナースと連携して指示や対応が早い先生。
  • 穏やかな看取りへと導いてくださり、家族にも寄り添ってくださる先生。
  • 担当者会議や人生会議の開催に医師が欠かせない場面で、そこに頑張って参加してくださる先生。

※このような先生方と人生の最期の時間をチームで支援し、納得いくお看取りを何度かさせていただくことができました。

反面、不安に思う「かかりつけ医」とは

  • 土日祝と夜間は対応できないと言い切り、訪問看護師に任せきりの先生。
  • 専門外なので診られないからそちらで探してと言われ、医師同士の情報共有もしない先生。   
  • 病状だけを診て、入居者様の声にも耳を傾けず直ぐに立ち去る先生。
  • 看護師からの報告や相談は聞いてくださるが、ヘルパーからの直接の連絡には不機嫌になる先生。
  • 入居者様の不安な訴えに「年だから仕方がない」「病気だからね」との返答で傾聴なし。
  • 大病院がかかりつけ医の場合、タイムリーに情報が伝えられず、指示が受けられない。
  • 病状について尋ねたスタッフに対し面倒くさそうに答えられ、距離感がある先生。

※入居者様とかかりつけ医の信頼関係が崩れそうになる場面もありますが、それぞれ入居者様の大事な「かかりつけ医」のためフォローしています。

サ高住の強み

 サ高住は、生活全般を継続的に見ることができる場です。多職種の職員がそれぞれの立場から入居者様の変化をキャッチすることができます。日常の語らいの中で貴重な生きた情報を得ることができます。これがサ高住の大きな強みだと思います。この強みを是非「かかりつけ医」の先生に利用していただき、 今後も、ワンチームで入居者様に寄り添えたらと思います。よろしくお願い致します。

医師からのコメント

今北正道先生からのコメント

 地域包括ケア・勤務医委員として今までの尼医ニュース「かかりつけ医について」拝見させて頂きました。
 医師の考える、かかりつけ医については多かれ少なかれ大差はありません。
 看護師さん、薬剤師さん、その他パラメディカルの方々もほぼ変わりないようですが親身になって診てくれて連携が取れる医師を望まれているようです。
 今回の認知症のご家族の貴重な意見では、すでにかかりつけ医はおられますが今後も住み慣れたところで暮らしていくためにかかりつけ医さんには病状変化に対しての対応を期待されています。
 また今回のサービス付き高齢者住宅のメロディハウスさんは患者さんの立場になって素晴らしい介護をされているように感じます。
 サ高住の中には経営優先で利用者さんが気の毒に思われる所をいくつか見てきましたが、この施設ならどんなかかりつけ医でも大丈夫だと思います。
 問題は今後増々高齢者が多くなり有病の高齢者さんにかかりつけ医を持ってもらうかということだと思います。元気な患者さんはご自分の都合に合わせてかかりつけ医を使い分けされます。年に数回だけ受診される大病院の医師をかかりつけ医と思っている方、逆に年に一度受診される方(ワクチン接種の予約時)がかかりつけ医と言われる場合もあります。まあ、これもありだと思います。
 我々開業医は普段から丁寧な診察と納得される治療を行うことでかかりつけ医と思ってもらえる患者さんが増えるようにいたします。

田口隆司先生からのコメント

 介護者会・サ高住からのレポート、委員会での議論をマーケティングの考え方で整理してみました。介護者会・サ高住からのレポートは医療サービス消費者としての患者・家族が日常接する医師(かかりつけ医)へのニーズ(現状と理想状態を比較して感じる欠乏)・ウォンツ(具体的な手段や対象に対する欲求)を述べたもので、委員会で繰り返し話し合われた内容と思います。ニーズを把握し、それを充足することで患者・家族がサービスに対して感じる価値(ベネフィット/コスト)が高まります。サービスから得るベネフィット(機能的、情緒的)を高め、サービスを得るためのコスト(金銭的、時間的、心理的)を下げることで、消費者のより強い満足が可能となります。その具体的内容が患者家族の心情が伝わる形で両レポートには述べられていて、患者中心コンセプトの「かかりつけ医」像と呼べるかもしれません。
 一方、超高齢化社会においては、公的(コモンズ?)な希少資源である医療へのニーズに対応するため、健康な時から継続的に地域住民の健康状態を知り、患者の健康問題全体を把握して、必要な医療をタイムリーに受けることができるように、健康に関する情報、病歴や服薬歴を管理する医師としての「かかりつけ医」が求められ、それは安心安全な持続的社会のための利害バランスを保ち社会厚生を図る、社会的コンセプトとしての「かかりつけ医」像でしょう。
 前者についてはこれまで、いろんな立場から述べられてきたようなので、今後は後者について諸外国の例も学びながら議論を進めてはいかがでしょうか。

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