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かかりつけ医について(連載6②)尼医ニュースより転載 薬剤師の投稿

かかりつけ医

                            薬局リベルファーマシー 大風幸一

ホームドクター

 私が子供の頃は近所のホームドクターに家族全員がお世話になり幼い私の耳が痛くなっても祖母が腸閉塞で倒れてもまず、その先生に相談し、その後のご指示を仰いでいた記憶があります。患者自らが自分の症状を自分なりに判断し、専門医を選択して複数の医療機関を受診することが多くなったのはいつの頃からなのでしょうか?薬剤師として仕事をしていると、複数の先生にお世話になられている中で、結局この患者さんのかかりつけ医はどなたなのだろうか?また患者さんご自身はどの先生をかかりつけ医だと思って通院されているのだろうか?と感じてしまうことがあります。

薬剤師の患者さんとのかかわり方の変化

 以前の薬剤師は、薬局に来局される患者さんと処方箋を介した、それこそカウンター越しの関わりが業務の中心でその背景に深く関わることはあまり無かったように思います。しかし居宅療養管理が広く行われるようになって患者さんとの関わり方も大きく変わってきました。そんな中、深く感じることは目の前の患者さんの抱える問題は疾患に対する治療というだけでは解決しないことが多すぎるということです。孤独、貧困、生活破綻・・それらがその人の健康を蝕んでいるという現実。処方箋調剤→服薬指導という関わりだけではどうしようもないように感じることがあるのです。
 その方の抱える問題を少しでも良い方向に向けるには多角的に捉え関わることが不可欠な時代になっているのだと感じます。だからこそ、その患者さんの病歴他、背景からトータルで体調その他の現状を把握されているかかりつけ医の存在はとても重要だと実感します。

在宅療養管理

 外来通院が困難となった高齢の患者さんの場合は居宅療養管理として往診でお世話になられるわけですが、かかりつけ医は疾患の治療という観点を中心にその周辺に横たわる問題についても多くの情報を把握されていると思います。居宅療養管理となるとその患者さんに関わる職種も増えてきますが多職種で関わるとしても統括的な役割を担われているのはやはり医師の先生方です。

あるべき方向性

 しかし把握されている情報から医師、ケアマネージャーを中心に導き出された方向性が全ての関係者に伝わりきっているかというとそうではないこともあります。各々の職種がその患者さんと関わる場面で良かれと思って行った行為が方向性を違えたものであったとしたら混乱を生んだり、結果的に患者さんの不利益となったりする危険性もあります。自分の関わり方がその方向性に沿ったものかどうか不安を感じた経験をお持ちのスタッフもおられると思います。業務が多岐にわたり、それぞれが忙しい中で、刻々と変化する状況についてよりスムーズな情報のやり取りが可能となり、あるべき方向性を確実に共有できる方法があればと感じています。
 また、せっかくしっかりとした関係性を構築したかかりつけ医がありながら、制度やその他の壁により、それまでの日常から切り離され全く未知の医療体制の中に組み込まれざるを得なくなる患者さんがいることもとても残念に思います。
 2025年の超高齢化社会が目前に迫る中、その人を取り巻く色々な方向を向いた複数の小さなベクトルが最善の方向を向いた、ひとつの太いベクトルになるように本当のかかりつけ医を持つことの重要性を患者自身も他の医療・介護の従事者も深く学び取る必要があるのかもしれません。

医師からのコメント

齋田宏先生からのコメント

チーム医療の中で、多職種をコーディネートできる”かかりつけ医”

 この30年間ほどは、目覚ましい、医療機器技術の進歩や疾患解明という輝かしい歴史を背景に、我々医師は、一般総合力を身に付けるよりも専門的な医療知識や高度技術の習得に心掛け、患者さんへ「治す医療の提供」を追い求めてきました。また、それと連鎖するように、患者さんやその家族もより専門的な治療(時には神がかりな医療レベル)を求めて、自ら公的な大きな医療機関を受診されるようになり、地域のかかりつけ医の役割が軽視される傾向にありました。
 しかし、ご存じのように超高齢社会・多死社会を迎えた今、「医師個人が、治す医療」から「みんなで治し支える医療」が求められています。
 大風薬剤師のご意見は、これからの新たな”かかりつけ医”のあり方を提示するものと考えます。
これからの”かかりつけ医”は、その時に応じた適切な医療を患者さんに主治医として提供するだけでなく、地域のチーム医療の一人として、多職種と協働しながらチーム内の様々な情報を共有し多職種をコーディネートできる”かかりつけ医”が求められる時代に来ていると感じました。

黒田佳治先生からのコメント

 薬剤師さんの目から見た「かかりつけ医」は処方箋から1人の患者さんが複数の医師にかかっておられることが実感されると思います。どの先生がかかりつけ医かわからないことがあるとのことです。高齢になると多くの先生にお世話になっており、患者さんがどう思っているのかを聞かないと分かりません。薬局も処方箋調剤→服薬指導の関りから居宅療養管理が行われるようになり患者さんの生活背景などを見せつけられると介護の必要性、医療の必要性と医療介護の連携の重要性が感じられ、統合する「かかりつけ医」や「ケアマネージャー」から導き出された方向性がすべての関係者に伝わっていないため患者さんの不利益にとなる危険性を指摘されています。それぞれが忙しい中で、刻々と変化する状況についてよりスムーズな情報のやり取りをし、あるべき方向性の確実な共有の方法の検討。その人に係るそれぞれの職種の小さなベクトルを一つの太い最善のベクトルに導く「かかりつけ医」の必要性を求められています。やはり顔の見える関係を作り、気軽に電話したり、SNSを使って協議したり、一つ一つ解決していくしかないと思います。医療・介護チームとしての意識を持つことが大切と思います。

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